かれらの生計は常に不安定でした。
生活環境や食生活の悪条件によって、出産数よりも死亡数のほうが多かったことからしても「定収入」が生の再生産にとって不可欠であることが判るのです。
・・・つまり、月島等の賃金労働者はたとえ不足であったとはいえ、新しい意味での生活の再生産基盤確保の過程にあったとみてよいでしょう。
支出状態『月島調査』における40世帯の家計支出をみると、支出額の最低は38円74銭で、最高は136円62銭です。
1所帯当り平均支出額は1ヶ月平均で73円52銭1厘です。
前出の20職工における家計調査ではその額は30円94銭8厘でした。
当然ながら収入額の高低が支出額を決定づけています。
さて支出内容をみると、生活必需品が73.2%を占め、そのうち飲食費は48%となっています。
津田真激氏は、エンゲル係数は名護町貧民の場合、上50.0、中53.3、下56.0とされています(『日本の都市下層社会』)。
これらの数値からしても、月島労働者家計のエンゲル係数が下層社会のうちで最も低かったことが明らかです。
しかも被服費(名護町では7.4~8.3%、月島では9.5%)にも差異が認められ、貧民窟住民の生活構造とは異質の傾向が月島労働者家計にみられるのです。
住居費は逆に月島労働者家計が10.1%で、名護町家計が11.2~13.2%となっているのは、家賃の生計費に占める割合が名護町において高いためです。